雑感Shotbarピーポッポ31anniversary」
2015年10月9日


31年前の10月9日に、Shotbarピーポッポは開店した。
私は37歳で、髪は黒々ふさふさであった。
その開店の日に、来店したお客様は、今でも時々来店してくれる。

31年前はまだバブルの時代で、私のお店近くの会社も、好景気に沸いていた。
お客様は私より、一回り下の男女が多かった。
会社員の人は勿論、ミュージシャン、俳優、ボクサー、噺家さん、そして医師、看護師などの医療関係の人たちや、大学生もいた。

毎日、夕方の6時に開店し、朝まで営業し、お店から出勤した人さえいた。
お客様も若かったが、私たちもまだまだ若く元気だった。
そして様々な失敗もし、悲喜こもごも、笑いあり涙あり、時にちいさな諍いもあったりした。

そんな長い歳月のうち、私たちも色々な経験を積み、様々なことを学び、少しづつ成長した。
お客様に助言をいただきながら、振り返ってみれば、31年の星霜が流れていた。
かつて20代の若者たちは結婚し、転勤したり地元へ戻った人たちもいる。

全国にお友達ができ、年賀状で新年の挨拶を、愉しみにしている。
そして何かの折に、上京した際、私の店に顔を出してくれる。
恐る恐る、ピーポッポはまだあるのかなと、半信半疑に訪れる人も多い。

それもそのはず、私はすでに前期高齢者の、立派な年寄りである。
昔ならば、すでに鬼籍に入っている。
最近は成人した子供さんと、一緒に来店する方も多い。

そしてかつて両親が通ったバーを、息子さんや娘さんが、懐かしそうに来店する。
時々、若い人たちに言われることがある。
「マスターとママさん、私たちの子供が成人するまで、店を続けていて下さい。子供とここで、一緒に飲みたいです」

だがそれは敵わぬ夢であろう。
20年はあまりに長い。
生きていることさえ覚束ない。

だが気力体力が許す限り、この店を続けてゆきたいと思う。
かつて若き日を共にしたバーがなくなることは、ある青春の鮮やかな映像が、消えることでもある。
その鮮烈な記憶を失わないために、これから生涯現役で頑張ります。