桜散り若緑の季節へ
2015年4月2日

コブシの花咲く道を下ると、遠くに桜咲く公園が見えた。
コブシの純白と桜の薄桃色のコントラストも愉しく、広がる碧空に輝いていた。
公園に着くと、桜の梢が風にそよぎ、はらはらと桜花が舞い散る。

絢爛と咲く桜も雅だが、桜の舞い散る花吹雪に、大和心の滅びの美を見る。
さらに暗紫の空に煌々と月が輝く夜桜に、妖しく幻想的な美しさが醸される。
そのさまは不気味なほどに妖麗で、老樹の太い根下に精霊が眠る。

桜が舞い散る花の回廊を進むと、生垣に名残の椿が、真紅の花を咲かせていた。
さらに行くと広い庭に菜の花が咲き、黄色い花が陽光に輝き眩い。
やがて椿も終わり、桜は葉桜となり、ツツジが色とりどりの、花を咲かせるだろう。

季節の花は七色に咲き匂い、若緑が木々に溢れる。
春の穏やかな陽光を浴び、うっすらと肌が汗ばむ・
さらに沿道の桜を愛でながら、駅へ続く坂道を登る。

すると民家の玄関前の小庭に、空に向かい真っ直ぐ伸びる、青紫の木蓮が見える。
降り注ぐ陽光に輝く、高貴で凛々しい姿は、花開く時の近さを教えていた。
花咲く季節の訪れは愉しく、日々の生活に潤いを与えてくれる。