海の釣果の贈り物
2014年12月17日

安房勝浦誕生時
今週の日曜日の午後、娘が釣果の魚を、2本持ち帰った。
安房勝浦の岩礁で釣あげた、ヒラマサとスズキで、共に80センチメートルを越す大物である。
その日は埼玉県みずほ台にある、天然日帰り温泉へ行く予定であった。

その前に魚を、さばかなければならない。
冷蔵庫に収蔵するには、魚は大きすぎた。
多分、30分ほどでさばけるはずである。

だが家には柳刃はあるが、出刃包丁がない。
店に行けば出刃はあるが、仕方なく正本の薄刃包丁で、さばくことにした。
まずはヒラマサから始めた。

魚を俎板へ乗せる。
薄青緑に光る魚体は円々と太り、魚体に触れると、弾力で弾きかえされるようである。
そして魚の大きな頭を、胸鰭にかけて切り落とし、腹を裂き内臓を取り出す。

内臓は橙色に光り輝いていた。
背中から包丁を入れ、さらに腹側からも切り込む。
包丁を骨に沿わせながら身を外す時、骨に当たる包丁の刃の音が小さく響く。

そして包丁を握る右腕に、微かな振動が伝わる。
やがて三枚に下ろされた身が、白い輝きを見せる。
さらに下ろされた身と、皮の間に包丁を入れ皮を引く。

その時、硬い皮と身の間を滑る、包丁の薄い刃が、微妙にしなる。
燦々と光り輝く冬の外房を、勇躍と泳ぐ貴公子ヒラマサに対し、この包丁では申し訳ない。
ようやく皮を引き終わり、サク取りも終わった。

そしてヒラマサの後、銀鱗が緑黒色に耀く、スズキに包丁を入れる。
ヒラマサと同様な手順で、注意ぶかく作業を始めた。
大きな鱗が飛び跳ねる。

包丁を入れ骨から身を外す時、骨に当たる包丁の刃が、カリカリと心地よい音を響かせる。
すると雪のように白い身が、躍り出て来た。
黒光りする銀鱗と対照的に、純白の身が眩しい。

三枚におろし、サク取りを済まし、大皿に盛る。
そして先ほどサク取りした、ヒラマサとスズキを刺し身にし、大皿に盛りこんだ。
30分の予定であったが、予定時間以上の、1時間もかかってしまった。

刺し身にしたのは、2本の魚の半身で、残りは切り身にした。
塩と胡椒をし、キッチンペーパーを敷いた皿に並べ、ラッピングして冷蔵庫へ収める。
翌日は落としたヒラマサの頭を兜焼にし、切り身をムニエルにする予定である。

フライパンの中で、香ばしくバターに焼かれたムニエルは、刺身と一味違う、冬の海の幸を楽しませてくれるであろう。
その日は馴染みの酒屋で仕入れた、山形県鶴岡の酒「白梅 俵雪 純米吟醸 生酒」が用意してある。
日帰り温泉から帰った後、鶴岡の地酒を飲みながら、ゆっくりと宵の晩餐を愉しむことにする。

生産地: 山形県
製造元: 羽根田酒造
アルコール度: 16度以上17度未満
原料米: 山田錦、山形100号(出羽きらり)
精米歩合: 50%
使用酵母: 山形酵母