麗らかな秋の一日、吉見町のコスモス畑を訪ねて
2014年10月26日

麗らかな秋の日、中仙道を下り、吉見町のコスモスを見に出かけた。
板橋区徳丸から1時間程のドライブで、埼玉県吉見町に到着した。
車を道の駅「いちごの里よしみ」に停め、コスモス畑へ向かう。

県道27号に出ると、稲田の遠くは、薄桃色に染まっていた。
その手前にコスモス畑と染め抜かれた、薄桃色ののぼり旗が、風にそよいでいる。
稲田の稲穂は鮮やかな黄金色に輝いていた。
さらに歩き行くと、道端の秋草が秋日を浴び、風に泳いでいる。
県道からコスモス畑に続く砂利道に、たくさんの車が駐車していた。
見ればこの辺りの稲田の稲は、すでに刈り取られている。
遠くに広がるコスモス畑には、花を愛でる人たちの姿が望見される。
長閑な風情が漂い、家族連れの人たちが微笑ましい。
先週の土曜日と日曜日には、様々なイベントが開かれ、一番の賑わいであったようだ。
本日はまさに名残のコスモス、コスモスを自由に摘み取ってくださいと、看板に書いてあった。
お気に入りのコスモスを、愉しげに摘み取る人に、嬉しげな笑顔がこぼれる。
コスモス畑の横の用水路は、泥を溶かしたような、灰色の水が流れていた。
さらに歩いてゆくと、用水路に鉄製の仮設の橋が渡されていた。
その橋を愉しげに、コスモス畑を訪れる人たちが渡っている。
橋を渡ると広々とコスモス畑が広がっていた。

麗らかな秋の日を浴びたコスモス畑は、薄桃色の花々が咲き匂う。
近くによると赤紫と薄桃色や白いコスモスが、昼下がりの陽光に輝いていた。
飾り気がなく楚々とした佇まいが、見る者の心に柔らかな安堵の気持ちを与えてくれる。
華美でなく控えめな姿に、麗しい匂いが漂う。
すると目の前を蜜蜂が一羽飛んで行く。
そして白いコスモスのオレンジ色の花芯にとまった。
橙色のお尻に黒い筋を刻み、透明な羽を微かに動かしながら、蜜を吸っている。
そして瞬時の後、花の蜜を求めて飛び去って行った。
11月の最終日曜日、コスモス畑の盛りは過ぎつつある。
花が散り萼と花柄と茎だけを残す、コスモスが寂しげな姿を晒す。
その隣には薄桃色のコスモスが、降り注ぐ陽光に輝き、微風に微かに揺れる。
コスモス畑の中で写真を撮影する人々。
花を摘む少女たちが、秋の日を浴びている。
長閑な吉見のコスモス畑は、今週いっぱいで名残となるであろう。
日は西に傾き始め、コスモス畑を後にする人たち。
お婆ちゃんとお孫さんが、愉しげにコスモスを積む。
そしてお婆ちゃんが、孫娘にコスモスを手渡す瞬間を、お母さんがカメラに収めていた。
秋の日は大きく傾き始め、薄紫に染まり始めた雲間から、燦光が降り注いでいた。