ヴェネツィアのお土産をありがとう!
2014年6月28日

28日の土曜日、Nさんがお土産を持って来店した。
カウンターに座り愛用のバッグの中から、何やら白い紙包みを取り出し、カウンターの上に置いた。
紙包みを開くと、朱色も鮮やかなヴェネツィアン・グラスが現れた。

そして店の照明を浴び、グラスの金彩が、鈍く妖しい光を放った。
先日Nさんが来店した時、近々、ヴェネツィアへ旅行に出かけると言っていた。
その時、何かお土産はと聞かれたママは「ヴェネツィアン・グラス!」と応えた。

その時の約束を守り、買ってきて来てくれたのだ。
するとさらにバックから3客の、ヴェネツィアン・グラスが、カウンターに並んだ。
それは薄紅と緑と青に輝くシェリー・グラスであった。

そこでその3つのグラスに、ドライシェリーを注ぎ、3人で乾杯をした。
するとまた、バックの中から薄茶色に光る、金属製の細長い缶を取りだす。
蓋を開けるとユニークな形をした、細長い酒瓶が出ていきた。

それはイタリアの銘酒グラッパであり、私への贈り物であった。
そしてシングルモルト好きのNさんは、ダルモア・テイドラムを飲みながら、さらにバックに手を伸ばす。
するとまた大判の本が顔を出した。

先日来店した時、Nさんはヴェネツィアにある、ハリーズ・バー(Harry’s Bar)へ出かけると言っていた。
それはそのバーで販売していた本である。
そこにはベリーニ/Bellini(イタリアではベッリーニの発音)の元祖ハリーズ・バーが提供する、料理やおカクテルのレシピーが載っていた。

もちろん1963年に、創業者ジュゼッペ・チプリアーニ氏(Giuseppe Cipriani)が創作した、ハリーズ・バー名物・カルパッチョ(carpaccio)も紹介されている。
それはルネサンス時代、ヴェネツィア派の画家・ヴィットーレ・カルパッチョ
(Vittore Carpaccio/1460-1526 )の生誕500周年回顧展を記念して作られた、創作料理だと言われる。

そしてNさんは私へのプレゼントと言って手渡してくれた。
沢山のお土産はさぞかし重いことであったであろう。
かれこれNさんとは30年近い付き合いだから、ほとんど開店以来のお客様である。

15年くらい前の話になるであろうか。
Nさんは私の店で朝まで、シングルモルト・ウイスキーを飲んでいた。
初夏の朝は早く、朝日が店に射し込んで来た。

そしてNさんに閉店を告げると、Nさんは酔い心地で店を後にして駅に向かった。
その日はTOEICの試験日であった。
その足で試験会場へ向かった。

結果はなんとフルスコアの990点! 日本人で初めての快挙であった。
Nさんは近日、アメリカ合衆国コロラド州ボルダーに住む家族の元へ戻る。
また日本を再訪する予定の秋に、再会を楽しみにしています!