月曜の深夜、懐かしき新宿ゴールデン街へ!
2014年6月3日


梅雨前にもかかわらず毎日の容赦ない猛暑が続く毎日、さすがに深夜ともなれば爽やかな風が吹く。
深夜、店を早く終い新宿ゴールデン街へ、テアトルエコーの俳優・山下啓介さんと繰り出した。
板橋区大山からタクシーで20分程で到着。

さすがに新宿の深夜は夜を知らない。
新宿の街には妖艶で猥雑な独特の夜の匂いが漂う。
車を降りゴールデン街へ向かう細い石畳を歩く。

この道を歩き始めて、かれこれ47年という気の遠くなるような時が流れている。
去年の今頃、高校の同級会の後、同級生の馴染みの店に来て以来だから、一年振りであろうか。
今日は20年以上の付き合いである、噺家の師匠・柳家獅堂さんが今月開店した「落語BARチキート」へお祝いに出かけた。

新宿ゴールデン街の狭く入り組んだ路地は、昼間のように煌々と輝いている。
新宿を戦前から見守り続けた、かつての享楽街には、一昔前の隠微で廃頽した空気は消え去り、健康な光に満ちている。
学生時代この地に入るには、悪場所へ飛び込む勇気と度胸を必要とした。

幾重にも交差する路地の辻々には、脂粉の匂いに満ちた女装の立ちんぼや、退嬰的な女性が道行く人を誘う。
その頃はまだ今は伝説となった「バー前田」のママも、前垂れ姿でカウンターの前に立っていた。
何時来てもゴールデン街には、遥かな昭和の懐かしさが漂う。

高層ビルが林立する新宿に、わずかに取り残された昭和のオアシスである。
昼間の猛暑が嘘のように、夜風が街に吹き流れる中、さほど迷うこともなく「落語BARチキート」を見つける。
玄関扉は開け放たれ、店内を覗くと柳家獅堂さんの姿が見えた。

カウンターには男女二人が座り、私たちは奥の席に座る。
山下啓介さんと飲むのは久しぶりである。
昔はテアトルエコーの公演の後、安原義人さんや納谷悟朗さんも交えて、居酒屋で飲み交わしたりしたこともあった。

そして私の店の近くのパブや居酒屋などで、飲んだことも度々であった。
だがこの数年、ほとんど酒を酌み交わすこともない。
今日の「落語BARチキート」開店祝いの席、懐かしくもあり愉しくもある。

「落語BARチキート」のマスター姿の柳家獅堂さん、身体も絞れ元気そうだ。
急勾配の階段を上れば2階席がある。
そこで定例落語界も開かれるようだ。

「落語BARチキート」は毎週月曜日から金曜日まで、25時から6時まで営業している。
新宿の深夜、落語を愉しみ早朝の電車で帰宅も、時には乙なもの。
ぜひ皆さまも新宿ゴールデン街「落語BARチキート」へお立ち寄りください!

落語BAR「チキート」
新宿区歌舞伎町1-1-5