予定のないまったりとした日曜日も愉し!
2013年9月10日

既に酷暑は過去へ消え去り、日一日と秋の装いを深めてゆく。
秋風に吹かれながら降り注ぐ日を浴びながら、赤とんぼが空に舞い始めた。
今週の日曜日、目を醒ますと開け放たれた窓から、爽やかな風が流れ込む。

玄関へ行き朝刊を取り出し、布団の中で読む。
読み終ると昨日の夕刊を読む。
毎日、朝刊と前日の夕刊は一緒に読む。

私が家を出て仕事に向かう頃には、夕刊が届いていないからだ。
私はどちらかと言うと、新聞は夕刊が好きである。
夕刊は文化欄が充実しているから愉しい。

新聞の後に読み掛けの、柳田国男「日本の昔話」を読む。
言葉から言葉へ語り続けられた日本の古い民話には、残酷で悲惨な結末のものも多い。
それは山の民、里の民、海の民たちが侵してはならない、禁忌の世界が表現されているからであろう。

そして「日本昔話」を途中でやめ、布団から起き出してテレビをつける。
目新しいことも興味を引く番組もないので、録画しておいた映画を観る。
それは藤田まことの遺作ともなる2008年公開小泉堯史監督「明日への遺言」である。

終戦間近の名古屋の無差別爆撃により、たくさんの一般市民たちが死傷した。
その時、空爆を展開したアメリカ空軍の爆撃機B29は撃墜され、搭乗員たちが落下傘で投降し捕虜となった。
そのアメリカ兵士たちは、略式命令の下、裁判されることもなく処断され、日本刀により斬首され処刑された。

戦後戦犯としてその斬首処刑にかかわった兵士たちが、横浜法廷の軍事裁判で審判を下される。
その時、当時第十三方面軍司令官兼東海軍管区司令官で、陸軍中将岡田資は部下を守るために、敢然と法戦を法廷で闘う。
投降したアメリカ兵は無差別爆撃を繰り返した犯罪者であり、残虐な行為に対する報復ではなく、それは戦争犯罪者を処断したのである。

岡田中将のために弁護するアメリカ人の弁護士の姿は誠実であり、その弁護する姿は真摯である。
やがて一点の曇りのない岡田中将の堂々とした発言に、法廷は立場を越えて心の交流が生まれ、岡田中将軍の高邁な人柄に同情が広がる。
捕虜虐待」の罪(B級戦犯)としての裁かれている部下の行為は、全て私の責任であり、私の決定の下に斬首の処断が下されたと岡田中将は主張する。

やがて審判の日が訪れ、岡田中将に絞首刑が宣告され、19名の部下たちに死刑者は出なかった。
岡田中将は公正な審判に感謝の言葉を述べ、法廷で見守る家族と視線を交し、本望であるとの言葉を残し法廷を後にした。
そして最後の時を迎える日まで、死と向かい合い穏やかで高潔な毎日を過ごす。

彼のために嘆願や除名の声が多く上がっているがと問われた時、法律は公平でなければいけないと応えた。
何処までも誠実で微動だにしない信念は美しい。
日本人の心の中に流れるサムライの潔さと崇高さが、岡田資中将に体現されていた。

この作品は藤田まことの傑作であり、戦後に生きる我々への遺言でもあろう。
映画を観終わる頃昼食の時間になった。
そうめんがあったので、にゅうめんを作る。

まずはつゆを作る。
市販の麺つゆを鍋に入れ水で薄め、だし昆布を加え、4本程の獅子唐辛子を手でちぎり加える。
さらにベーコンを1枚やはり手でちぎり、鍋に入れ適度にて煮だす。
男の台所のいいところは、包丁を使わずに、大雑把に手でちぎるのが愉しい。

その間に鍋に水を入れお塩を少々加え、沸騰さした所にそうめんを入れる。
3分弱茹でると程良く茹であがる。
先ほどのつゆの中に、釜揚げのようににゅうめんを加え、一煮たちさせ丼へ空ける。
仕上げに卵を溶き落とす。

にゅうめんは時間がかからず手軽である。
食欲のない時などは最高である。
そしてお昼を食べながら、さらに録画しておいたドキュメンタリーや落語や講談などを観る。

開け放たれた窓からは、涼しい風が吹き流れる。
お昼も大きく過ぎ録画を観るのを辞め、テレビを観ると野球が中継されていた。
1-0でリードを許す読売巨人。

膠着状態で6回表の攻撃。
すると巨人は2点を入れ逆転し、先発ピーッチャーが交替しリリーフへスイッチ。
さらに1塁と2塁にランナーを置き、バッターは絶好調の4番打者村田が登場。

なんと村田はバンドを決め一塁へ疾走する。
思いもよらない阪神は、バンドヒットを許す。
そしてさらに1点を追加した後、代打高橋由伸が登場。

このところ絶好調の高橋、投げ込まれたボールは左中間の一番深いスタンドへ、美しい放物線を描きながら吸い込まれていった。
それから巨人の猛攻の始まり、一気に9点をあげ試合を決めた。
そして中継が終わる頃、日は陰り夕靄に包まれてきた。

そしてまた録画しておいた映画を観ていると、すっかりと日は落ちていた。
何も予定のない一日。
スケジュールや時間に追われることもなく、思いのままに時を過ごす。

これから軽く買い物に出かけ、酒のつまみでも仕入れ、一風呂浴びる。
風呂上がりにビールをぐびりッと飲み、冷蔵庫から先ほどの酒のつまみを出し、晩酌でも始めることにしよう。
その頃、日帰り温泉に出かけたママも帰宅する。
秋の宵、夜空に星々が瞬き、大きな月が煌々と夜空に輝いていることであろう。