日本酒を楽しむ会、酒房おばん菜「おやまだ」にて
2013年3月17日

このところ春待ち遠しい日々も、季節はずれの強風が吹き荒れ、桜の蕾も硬いままだ。
だが日曜日の今日は、快晴で麗らかな陽気。
午後2時から板橋区仲宿にある、おばん菜「おやまだ」で飲み会がある。

新潟の銘酒・朝日山の蔵元と「おやまだ」が企画した、日本酒を楽しむ会である。
「おやまだ」はかつて繁栄を誇った宿場町、旧中山道に面する板橋宿の真ん中辺りにある。
この辺りはいまだに古い町並みを残し、懐かしい風情に溢れている。

「おやまだ」の店主はもちろん小山田さんで、この地に開店して10年以上は経つ繁盛店である。
美味しいお酒と旬の肴を魚河岸で仕入れ、お酒と料理の絶妙な饗宴を演出している。
店主は油の乗り切る40代、気風の良い板前さんだ。

格闘技好きで自らも合気道に打ち込む。
私の店も日曜日が休みで、「おやまだ」も日曜日が休日なので、今日が「おやまだ」初デビューである。
「おやまだ」には会が始まる7分くらい前に到着した。

すでに参会者の面々が、お店の中央にある、大テーブルに着席していた。
私も皆さんに軽く会釈をして着席した。
そしてテーブルには大皿に盛られた料理が並べられ始めた。

そのテーブルには利き酒三点セットの用紙が置かれ、その上にガラスのグラスが三つ置かれた。
朝日千寿盃、参乃越州、越州桜日和。
それぞれにお酒が注ぎ終わると、天保元年に創業した歴史を持つ、朝日酒造蔵元の簡単な挨拶とお酒の説明があった。

そして酒宴は開始された。
グラスに注がれたお酒を飲み比べながら、「おやまだ」の料理を頂く。
それぞれのお酒にどの料理が合うのかなど考えながら箸と盃がすすむ。

今が季節のボイルホタルイカを摘み、口の中に含み噛むと、イカの甘さが口の中に広がる。
この甘さには純米参乃越州の清冽でふくよかな味わいがいけるか・・・・・・?
桜の季節特選アルコール度数も低めの13度の越州桜日和、華やかな吟醸香を引き立てるには、さっぱりとした太刀魚の刺身が良いかも・・・・・・。

昔懐かしい朝日酒造の上級定番朝日千寿盃の辛口には、鰯の酢〆とアスパラと浅月の酢みそが良いかな〜ッとか、あれこれ考えるのも楽しい・
さらに粉雪のように微かに霞む越州 雪げしき本醸造 生酒は、アルコール度数が18度だが、きっぱりと爽やかで淡い香りが漂う。
そして私好みの生原酒元旦しぼりは、アルコール度数18度と高めで、米の芯が匂いたつようで嬉しい。
さらに吟醸里紅葉は燗をしても冷にしても持ち味が膨らみ、口内に様々な味わいを楽しましてくれた。

本日の日本酒を楽しむ会の参加者の殆どは、私にとって初対面である。
でも隣に座る女性には、度々お酒を注いでいただきありがたかった。
お酒を注ぐのは私の仕事で、お酒を注いでもらうことは、滅多にないのでこよなく嬉しい。

店のガラス戸越しに見える景色は、昼下がりの仲宿の雑踏。
強い陽光が降り注いでいた。
未だ高い日差しの中、お酒を飲むのは旅行に行く時以外殆どない。

6種類の銘酒を次々に飲み比べながら、酒の酔が心地よく体の中を巡り始める。
やがて生メカジキの照り焼きが、大皿に盛られてテーブルの上へ。
身は弾けるように照り輝いている。

小皿に移し箸で割ると、プチッと音が聞こえるようだ。
口に入れ噛むとほっこりと崩れ、口の中に上品な旨みが広がった。
そして近くの和菓子屋さんの練り切りが口替わりとなり、爽やかな甘さに合うお酒を皆なで探すのも一興であった。

さらに仕上げには軍鶏鍋が運ばれ、お酒を愉しみ軍鶏鍋を遠慮なく頂いた。
やがて外の日も陰り始める頃、お酒は体内を踊り、ほろ酔い気分となった。
「おやまだ」の皆様、本日は愉しい時間をありがとうございました。


おばん菜「おやまだ」、本日の献立

 アスパラと浅月の酢みそ
     新物のボイルホタルイカ
     太刀魚の刺身
     鰯の酢〆
     ちぢみ法蓮草と春菊とうるいのお浸し
     生メカジキの照り焼き
     半片の辛子焼き
     軍鶏鍋
     練り切り
     柿のドライフルーツ