埼玉県久喜市「 あやめ・ラベンダーのブルーフェスティバル」を訪ねて
菖蒲総合支所庁舎前
(埼玉県久喜市菖蒲町新堀38番地)

2012.6.17(日)
 
昨日の雨も上がり、久喜市「 あやめ・ラベンダーのブルーフェスティバル」に到着した時は快晴であった。
菖蒲総合支所庁舎前の広い駐車場には、沢山の車が停まっていた。
無料の駐車場に車を置き外に出ると、彼方に模擬店のテントが見える。

そして太鼓の音が澄みきった空に響いていた。
太鼓の音の方向に進むと、一基の神輿を担ぐ、若い衆たちの威勢の良い掛け声が聞える。
あやめ・ラベンダーのブルーフェスティバルが、ヒートアップしていた。
 
遠くを眺めれば、ラベンダーを見物する人達の姿が、右に左に動いてゆく。
模擬店を眺めながら行くと、ラベンダーの園に到着した。
紫色の高貴な花は、凛々しく咲いていた。
決して豪華で派手な花ではないのだが、楚々とした咲き姿に、高雅な佇まいがある。
顔を花に近づけると、柔らかな香りが鼻先を包む。
柔らかな薫風が吹きわたり、微かにラベンダーが揺れる。
昼下がりの陽光は、花々へ降り注ぎ、ラベンダーが耀いている。
その花の蜜を求めて、真っ黒な大きな目をした蜜蜂が飛んでくる。
そして花にとまり、黄褐色に黒い縞模様に飾られた尾を、小刻みに振りながら花蜜
吸い、花から花へと移り飛ぶ。
紫の花園は小さな蜜蜂たちの楽園のようだ。
ラベンダーにも様々な種類があり、それぞれが上品な咲きようをしている。
ラベンダーの花を愉しみながら、散策道を進むと、遠くに菖蒲が咲くのが見える。
 
菖蒲園には様々な色の菖蒲が咲き誇っていた。
何時見ても菖蒲の花は艶やかに匂い咲く。
枝垂れて咲く花は、雅で豪奢でもある。
木製の散策道を歩くと、中程に沼があった。
そこでは子供たちが、餌のスルメを繋いだ竿で、ザリガニを釣っていた。
置かれたバケツを見ると、小さなザリガニが入っていた。
すると強い日差しと温かな陽気に誘われるように、1匹のトンボが飛んできた。
土色に淀んだ沼の中を見ると、針のように細く小さな魚が、無数に泳いでいた。
菖蒲園を後にして、ラベンダーが咲く、高台の堤に出る。
堤沿いに遠くまでラベンダーが咲き、木陰のベンチには、瞬時の休息をとる熟年の夫婦が座っていた。
堤沿いには川が流れ、川面がきらきらと陽光に煌めいている。
その彼方には、田植えを終えた水田が広がっていた。
すると白い蝶が飛んできた。
その蝶に誘われながら土手を下ると、萌黄色の草むらに出た。
そこにはさらに幾匹かの蝶が、優雅に飛び、若草にとまっていた。
若緑の水田を眺めながら進むと、子供の声がした。
「お父さん、蛇だよ!」
灌漑用水を見ると、薄茶色の縞模様の蛇が、長い身体を水に浮かせていた。
 
時折、身体を捻り、鎌首を擡げていた。
自然界に生息する蛇を見るのは何年ぶりであろうか。
世田谷に住んでいた子供の頃は、至る所に蛇は住んでいた。
 
多分、それ以来のことだから、40年以上も前になるのであろう。
模擬店のある広場に戻ると、ラベンダーをテーマにした、様々な品物が売られていた。
駐車場に戻る頃、初夏の日は高く、切れることもなく見物の車がやって来る。

昼下がりの陽光の下、写真を撮りながら見物したので、身体はかなり汗ばんでいた。
そして4時前に駐車場を後にし、次の目的地、日帰り天然温泉「なごみ」へ向かった。
「なごみ」の湯は茶灰色に濁っていた。

天然掛け流し温泉の湯味は優しく、身体を癒すように包み込んでくれる。
最近は何処へ出かけても、日帰り天然温泉がある。
五右衛門風呂の壺湯やローズマリーが漂う香り湯に、野趣満点の洞窟風呂を愉しみながら、一日は終わった。