埼玉県東松山市「玉川菖蒲園」を訪ねて
2012年06月10日

埼玉県東松山市にある、玉川菖蒲園へ行って来た。
先日の9日、少し遅れの梅雨入り宣言。
日曜日の天気が心配であったが、目を覚ませば絶好の行楽日和であった。

東松山ICを降りて、254号を進み暫く行くと、玉川菖蒲園へ到着した。
幸いなことに駐車場は空いていた。
市の施設、玉川スポーツセンターの前の駐車場に車を置く。

センターの前の広場には、フリーマーケットが開かれ、模擬店も出ていた。
だが時間が午後2時半過ぎ、フリーマーケットは、店仕舞いをし始めていた。
ときがわ町役場本庁舎横の路地を下ると、正面に菖蒲園が広がった。
 
今日はまだ、菖蒲園祭の1週間前、近くの駐車場も空いていた。
菖蒲園の入り口に、係員の人が1人立っていた。
「入場料は無料です。公園のために、寄付をお願いいします」
 
入り口にある小さな箱に、100円玉を入れる。
木肌も新しい黒色の散策道を進む。
四方には、町おこしと地域活性化のために、住民花づくりグループ「花菖蒲を育てる会」が拓いたという、菖蒲田が広がる。
8000uほどの遊休農地に植えられた菖蒲田には、8000株の様々な色の花が咲いていた。
散策道は広く、車椅子に配慮された、輪留めの横木が、張りめぐらされている。
これなら車椅子の人も、安心して見物が出来る。
 
だが盛りの時期ではないのであろう、花はまだ5分咲くらいであろうか?
人出も少なく、三々五々、心地よい散策を愉しめる。
賑わいの中での撮影は、何かと気を使い気ぜわしい。
菖蒲園は都幾川沿いにある。
川を望むと、初夏の温もりを湛えて、穏やかに流れていた。
その向こう遠くに、緑に萌える小高い丘が、川を包んでいる。
だが暫くすると、温かな陽光も弱くなり、やがて空は暗くなる。
空の切れ目から射す微かな陽光は、消え入りそうに変わる。
雲は灰色から黒色を濃くし、厚く垂れ込め始めていた。
やがては雨雲に変わるのであろうか?
紫、白、黄などの柔らかな色合いの菖蒲を眺めながら、人とすれ違うこともなく散策路を歩く。
もうしばらくの見物、雨ふりだけは堪忍してほしい。
来週になると、ときがわ花菖蒲まつりが始まる。
この散策道は菖蒲を愛でる見物人で、溢れ賑やかなことであろう。
満開待つ今日、のんびりと菖蒲の花を愉しめるのが嬉しい。
  
今はまだ咲き切れない若い花も多い。
見事に咲き誇る花に混じり、開花を待つ花を眺めるのも、それはそれなりの情趣がある。
見れば、菖蒲田には、それぞれに立て札が立ち、花の年数を教えてくれる。
 
1年の菖蒲、2年、3年、4年の菖蒲が花を咲かしている。
年数が経っている菖蒲は、株も多く咲く花は大きく、華やぎも豊かである。
今はまだ殺風景な気配も漂う、発展途上の菖蒲園。
  
これから先、手入れと共に、ますます華やかで豪華な花園へ発展するのであろう

紫の花の花芯を見ると、若緑色の雨蛙が、ちょこんと隠れるように乗っていた。
顎の辺りに濃い黒の模様を付けて、円らな黒い目を輝かしていた。

 
空はますます重く垂れさがり、ますます暗くなって来た。
望めば灰黒色の雲が空を覆い、残光が雲の陰から微かに、消え入りそうに照り返していた。
公園を出て車に乗り、エンジンを掛け、発進するまさにその時、フロントガラスに雨が落ちて来た。

先ほど店開きしていた場所には、すでに人影はなくひっそりとしていた。
そして菖蒲園を後にして、254を進み、次の目的地・蔵の湯へ出かけた。
天然野天風呂は透明で柔らかく、心地よい湯に浸り、菖蒲見物の1日は終わった。