秩父で今年もお正月
2012年1月1日-3日


 
今年の正月も、秩父で過ごす。
去年12月3日、秩父の夜祭りに来て以来だから、1ヶ月足らずの再訪になる。
 
3年ぶりの夜祭り、何時もお世話になる観覧場所は、最高のスポットである。
目の前で、総重量20トンの煌びやかな山車が、ぐるりと切りまわされ、45度の急回転をする。
そして屋台や笠鉾が、ぐぃっと持ち上がり、ぐらりと傾き、ぎしぎしと向きを変える。
 
その瞬間、うぉーっという歓声が上がる。
花火が次々と打ちあがり、冬の夜空を染める。
私たちはお酒を飲みながら、劇的瞬間を待ち、その一瞬をカメラに収める。
 
あの時からすでに、約1ヶ月も経過している。
時の流れの何と早いことであろうか。
そして元日の日、のんびりと299号を下り、秩父神社には、夕暮れに着いた。
 
参道の両脇には、夜店が並び、山門には提灯が灯っていた。
階段を上り山門を潜り、参道を進む。
すでに参拝者はまばらで、待つこともなくお参りを済ませる。
 
社務所の明かりは煌々とともり、参詣者がお守りや破魔矢を求めていた。
私たちも、去年、柄の赤い破魔矢を求めた。
今年は柄のところが黒い破魔矢を頂いた。
 
日はとっぷりと落ち、境内を冷気が包み、厳粛な空気が漂い始める。
やはり秩父の冬の空気は、清涼であるが、肌を厳しく刺す。
境内の前の駐車場には、元日なのであろう、引きも切らず、車が出ては、また別の車が現れる。

毎年の慣例となった、秩父神社への参詣。
参拝を済ませ、正月のお勤めを果たし、どこかほっとして、晴れ晴れとしたな気持ちで、神社に別れを告げる。
紺青の高い夜空に星がひかり、秩父の峰々が、微かな残光にシルエットを映す。
 
秩父市内から荒川を渡る。
眼下、100メートルはあるだろうか、蕭条とした冬枯れの荒川は、緩やかに流れる。
川沿いの道に別れを告げ、森閑とした道を上り、昔の峠道の俤を残す秩父路を進むと、小鹿野町に出る。

そこには長閑な山里が広がり、小高い山々が折り重なる。
澄み切って高い蒼穹の中に、きりきらと星が輝き、黄金色の三日月が照り渡る。
森厳とした山里に点在する家々には、正月の明かりが灯っていた。

そして、とっぷりと日が落ち、木々が深い闇に包まれる頃、ママの実家に到着した。
すでに、親戚の人たちや、私の息子、娘たちが、それぞれに運転する車で到着していた。
我々は中に入り、荷物を部屋に片付け、仏様に新年の挨拶をして、いよいよ元日の酒盛りが始まった。

毎年、欠かさずやって来る、秩父の正月。
まるで我が家のように、無頼に自由に過ごさせていただく。
お酒を飲み、料理を摘まみ、そしてまた酒を酌み交わす。

気が向いた時に、布団に横になり、持っていくウォ−クマンで音楽を聞き、時には小説を読む。
東京に生まれ育った私には、故郷がない。
秩父郡小鹿野町は、私にとって、第2ではなく、唯一つの故郷である。