東京ドームへ野球観戦
2011年8月19日

20011.8.19(金)、東京ドームへ、巨人対ヤクルト戦を観に行った。
後楽園へ来るのも何年振りだろうか。
7年位前まで、私が応援していたプロボクサーの試合に、5年間ほど通った。

長い間、ライト級でランキング1位をはっていたが、4回のタイトルマッチも、残念なことに、僅差で敗れた。
それ以来、後楽園を遠ざかっている。
1週間位前、娘の会社が持っている、シーズンシートのチケットを、娘が持って帰宅した。

チケットは19日の金曜日のナイター。
観に行く人を探したが、近日過ぎて、観に行ける人がいなかった。
せっかくのネット裏のチケット、無駄にするのももったいないので、私とママで観戦することにした。

試合当日、私の店の近くの駐車場に車を置き、電車で出かけた。
東武東上線大山駅から池袋駅へ、そこで有楽町線に乗り換え、後楽園前で降りた。
久しぶりの後楽園、東京ドームの方角が分からず、駅前にいた警備員に訊いた。

「後楽園球場は何処ですか?」
警備員は、指を指して教えてくれた。
するとママが、ニヤニヤしながら「あなた、今、何て言った?」
「後楽園球場」

「今時、後楽園球場はないわよね」
「あ、そうか。東京ドームだったか」
「でも、よくわかったわね、後楽園球場で」
「警備の人、そこそこ歳いっていたからじゃない」

地下道から外に出たら、たくさんの人が、球場へ向かって歩いて行く。
球場へ向かう歩道橋を渡ると、球場前に着いた。
係員に訊いて、シーズンシート入り口22番ゲートへ向かう。

ゲート前にはすでに長い列が出来、入場券を見せ、次々と球場内に消えてゆく。
私たちも、シーズンチケット入場者にプレゼントされる、巨人軍応援用のオレンジのタオルを、受付で貰い入場した。
シートはヤクルトのダッグアウトのすぐ後ろだった。
 
場内を見上げると、巨大なドーム内の観客席が、幾重にも重なり、彼方の観客の顔は驚くほどに小さい。
私たちの正面に陣取る巨人の応援団は、すでに賑やかに、鳴り物入りで応援をしていた。
やがて、ヤクルトの選手がグランドに現れ練習を始め、そして、ダッグアウト前では、チアガールが元気にチアダンスを披露した。

やがて、6時丁度に、試合は開始された。
巨人のピッチャーは澤村、巨人に入団して初めて迎えるシーズン、毎回の力投の割に、勝ち星は少ない。
防御率も2点そこそこだが、なかなか勝ち星に恵まれない。
 
しかし、前回は早い回での不本意なKO、今日は絶対に負けられない。
そして主審のプレーの下、試合は開始された。
マウンドの澤村は、ゆっくりとキャッチャーとサインを交わし、大きくふりかぶりる。
 
しっかりと右足に重心を乗せ、左足を上げ、瞬間ぴたりと直立し、大きく左足を踏みだす。
右手を後ろに引き、弓ひかれるように、右手の肘がしなり、白球が手元を離れた。
そして、キャッチャーのミットに、ドスッと鈍い音を残した。
 
新人のピッチャーながら、なかなか風格がある。
プロ野球選手にとって、敵に向かうこの堂々とした風格が、スター選手たる華を与える。
きっと勝負に対するモチベーションが高く、野球へ取り組む姿勢が、ひたむきなのであろう。

観客席の中では、様々なドリンクを販売する売り子嬢が、忙しく立ち働く。
それぞれの可愛らしい衣装に身を包み、生ビールやサワーをサービスするタンクを背負い、サーバーでカップに注いている。
左手にはたくさんの千円札を指にはさみ、笑顔で飲み物を捌いていた。
 
1回のヤクルトの攻撃は0点で終わり、巨人軍の攻撃が始まる。
ヤクルトのピッチャーは左腕の村中、しなるような流麗なフォームで、モーションは美しい軌道を描く。
だが立ち上がり、制球力のある村中だが、球筋が定まらない。

1番坂本は1度もバットを振ることもなく、フォアボールで出塁。
2番寺内はセオリー通り、送りバンドを決めて、走者は2塁へ進む。
すかさず長野がセンターへタイムリーヒットを打ち、坂本が2塁から生還して先制点を挙げた。


そして2回のヤクルトの攻撃。
畠山、バレンティンと2者連続三振のあと、宮本はファーストゴロの3者凡退。
そして巨人の攻撃。
先頭打者の高橋由は、内角のストレートを打ち、セカンドフライ で1アウト 。
次打者は、今シーズ、長いスランプからやっと立ち戻りつつある小笠原。

小笠原、ホームランの瞬間
他の選手に比べれば、身長は低いが、がっしりとした体躯は、歴戦の勇者の貫禄を滲ませている。
さすがに長い間、プロ野球選手として、主役を張って来た男の体幹は太い。
この頑強な肉体は、たゆまぬひたむきな努力の結晶であろう。

大きな怪我をすることもなく、全試合に出場し、クリーンナップを打つ、精神と肉体のタフさを証明している。
だが今年は如何した事なのか? 打率も2割そこそこで、ホームランは2桁にも遠い惨状だ。
しかし、復帰してきたこの頃は、かなりの好調さを示している。
 
小笠原はボックスに入り、ゆっくりと構えた。
そして、カウント2-0から、ガツンと一振り、村中のストレートを、右中間スタンドへライナーで運んだ。
ダイヤモンドを噛みしめるように周り、ホームベースを踏み、ナインにハイタッチで迎えられた。
小笠原の復活は、これからの熾烈なペナントレースにとって、大きな力になるであろう。


2回裏の巨人の攻撃は、小笠原のソロ5号ホームランの1点に終わり、小笠原は3塁で守りに着いた。
何事もなかったかのように、涼しい顔で3塁ベースを守る姿は、小柄な小笠原を大きく感じさせる。
それにしても今シーズンは、長い長い不振が続いたものだ。
 
大リーグのイチローもそうだが、毎シーズン、3割を切ることもない小笠原にしても、長いスランプと言うものが襲うことがある。
これほど実績のある名選手だからこそ、スランプと言えるのであろう。
昨今の駆け出しの選手でも、少し打てなくなったり、ピッチングで勝てなくなったりすると、恥ずかしげもなくスランプと公言する者もいる。
 
だがスランプとは、過去に幾多の実績を残している選手にして初めて、使うことの出来る言葉である。
1回の長野の適時2塁打の先制に続き、2回の裏の巨人の小笠原のソロホームランで1点を追加した後は、両投手の投げ合いで0点が並ぶ。
見渡せば、46000人収容の球場は、観客で埋まっていた。
 
選手たちが繰り広げる、一進一退の攻防に、大きな拍手を送り、時には怒涛のような応援合戦が繰り広げられる。
そして、息詰まるような緊張した瞬間には、観客は固唾をのむ。
2回以降は膠着状態が続いたが、8回に試合は動き始めた。


巨人は守備固めに入り、谷をレフトへ、藤村をセカンドに投入し、寺内と小笠原の守備も変更した。
そして澤村は続投するも、さすがに天王山、村中への代打森岡に、内野安打を許したところで、山口に交代する。
1番の青木がピッチャー強襲の2塁打で2、3塁。
次打者田中はサードゴロを打ち、3塁走者はホーム狙うが、好返球で刺され、ランナーは1、3塁。

ヤクルトは代打攻勢をかけ、小柄な川島が代打で登場する。
だが、期待にこたえられずセカンドゴロ。
その間に、ヤクルトは待望の1点を返した処で、巨人はさらにピッチャーを久保に交代した。
そしてヤクルトは、次打者の畠山の1打逆転に期待をかけるが、サードゴロでスリーアウトとなった。
 
 
その裏、巨人は1点を追加。
そして最終の9回にヤクルトの反撃が始まった。
先頭打者バレンティンが レフトへの2塁打で出塁、宮本、ホワイトセルが倒れたが、相川がレフトへ、タイムリーヒットを打ち1点を追加する。
 
巨人は選手を交代し、センターへ鈴木を投入、さらに守備位置を交替し守備固めをする。
ヤクルトも、相川に代走の福地を送り、宮出の一発逆転打に期待を繋いだ。
だが宮出の1打は敢え無くショートゴロ、ゲームセットになった。

  
さすがに優勝を争う天王山、8、9回と試合は縺れ、巨人は薄氷を踏む勝利だった。
グランドから引き上げる巨人軍の選手に、安堵の笑顔が溢れる。
そしてチアガールたちが、元気よくグランドに飛び出し、踊りながら、選手たちを迎えた。

 
 
このところ、勝ち星から遠ざかっていた澤村は、連敗を3で止め、7月9日以来の勝利。
8回途中1失点の好投で、今季の新人最多勝の6勝目を飾った。
残り少ない今シ−ズン、ペナントを争う巨人とヤクルト戦の激闘を期待する。