2010.12
小さな旅&日記


フレッシュ名曲コンサート
第28回
板橋第九演奏会を聴きに
2010年12月12日

日曜日の1時過ぎ頃、家を出てコンサート会場へ向かう。
前回の板橋混成合唱の発表会は、生憎の天気の上、道路が混んだ煽りを食い、僅かに遅刻してしまった。
会場に到着した時は、間一髪の差で、コンサート会場へ入れず、暫くの間、玄関ホールのテレビに流れる
コンサートの様子を見ていた。

今回は、そんな憂き目に遭わないよう、充分に時間を取って家を出た。
不思議な事に、そんな時に限って、道は空いてスムーズな車の流れ。
板橋文化会館近くの駐車場に車を停め、会場に着いた時は、すでに開場され始めた時で、聴衆はホールの中へ入っていた。
そして、板橋文化会館の中に入り、空いてる席を探せば、前から3番目の左端側が2つ空いていた。

少し前過ぎるとは思ったのだが、他には席もなく、見たところ満席状態であった。
そこに着席して暫くすると、定刻の2時半に、演奏が始まった。
モーツァルト作曲・交響曲第9番ハ長調。
指揮は、東京交響楽団の専属指揮者で、国内はもとより、世界的に活躍する飯森範親さん。

20分程で演奏は終わり、10分の休憩の後、ベートーベン、(1770年? - 1827年)の第九の演奏が始まる。
オーケストラが入場し、さらに、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンの4人のプロの声楽家が登場した。
そして、板橋区で公募した、180人のアマチュアの合唱団が、晴れやかに入場した。

この作品は4楽章からなり、第4楽章の主題が「歓喜の歌」として名高い。
1792のこと、ベートーベンが22歳の時、シラー(1759年 - 1805年)の作品「歓喜に寄す」に感動したベートーベンが、
32年ほどのちに完成させた交響曲である。
1楽章から3楽章へ進み、やがて4楽章へ。

指揮者の飯森範親さんは、的確で、躍動的に東京交響楽団を指揮する。
額にはうっすらと汗が滲み、右手に握られた指揮棒が、時には激しく鋭く振られ、
そして一瞬静止した瞬間に、時間が停まったような静寂が訪れる。
さらに、左手は柔らかく優しく、豊かな表情を持つ。

やがて、第4楽章は始まった。
指揮者は躍動的に、そして、流麗にタクトを振る。
やがて、祝賀の昂揚が最高潮に達する時、混成合唱団の声が、交響曲に協奏する。
大ホールの空間は、大伽藍に変わり、限りなく荘重な空気が漲り、祝祭の歓喜に満ちる。

ドイツ語で謡われるシラーの詩を、謳いあげる混成合唱団の歓喜の声が、新しい年への賛歌となる。
黒のロングスカートと純白のブラウスに包まれた女性たちと、黒のタキシード姿の男性たち。
ソプラノ62、アルト75、テノール22、バス21名、総勢180名が、オーケストラの後方から高らかに響き渡る。

凛々しく真っすぐと立ち尽くす混成合唱団の豊かな声が、ホール全体を、さながら大聖堂の歓喜に満ちた聖歌に変えた。
最高列で、颯爽と歌いあげるMさん、今回もご招待、ありがとうございました。
クラシックには門外漢の私ですが、お陰さまで、少しづつ、クラシックに馴染んでいこうと思っています。