東秩父「彩の国ふれあい牧場」ポピーを訪ねて 2010年5月16日 浅草浅草寺では、初夏の訪れを告げる三社祭りが最高潮を迎えた。 3基の神輿が浅草寺から宮出しされされ、群れ集まる観衆の中を、男衆や女衆の掛け声と共に、神輿を揺すりながら練り歩く。 今日はまさに祭り日和。 だが我々は、東京を離れ、深紅に花咲くポピーの花園を求めて、関越を北上した。 練馬の練馬ICから一路、埼玉県の嵐山小川ICへ向かった。 やがて、昼下がりの陽光を浴びながら、入間川がゆったりと流れている。 晴れているならば、左手遥か彼方、なだらかな山稜の中、くっきりと秀麗な富士山が、くっきりと姿を現すなだが・・・・・・。 さすがに、陽光は強く煌めいているが、彼方はうっすらと霞がかかっていた。 まっすぐな道を進むにしたがい、前方には幾重にも折り重なる、秩父の山並が朧に霞む。 高速を飛ばし30分くらいだろうか、嵐山小川ICに到着した。 ここから、さらに東秩父へ向かう道、遠くに見えた山々は、新緑に燃え上がっていた。 すでに、田には水が張られ、多くの田んぼでは、田植えが終わっていた。 田に整然と植えられた稲は、青々として、柔らかな風に揺れていた。 やがて、折原辺りを越えたあたりから、道は深い森に包まれる始めた。 ママが調べた道順に沿って、半信半疑進む。 道はだんだんと緩い傾斜の上り。 さらに進めば、傾斜も厳しく、だんだんと高度を増していく。 左手の眼下を見下ろせば、遥か彼方に、集落が見下ろせる。 さらにさらに、初夏の匂いが漂う峠道を進むと、やがて二本木峠。 そして、目的地、「彩の国ふれあい牧場」に到着した。 入り口辺りのお店には、たくさんの人が溢れていた。 そのさらに奥に進むと、そこには無料の大駐車場があった。 わざわざ、そこを目指して出かけた辺鄙な観光地でも、有料の駐車場が多い中、無料なのはありがたい。 そこを目的に出かけて行くのだから、無料でもよいと思うのだが、意外と無料のところは少ない。 たとえ、駐車場が無料であっても、様々に、その場所でお金を落とすのだから、駐車場くらいは無料でも計算は合うはず。 だが、お金を貰う側と払う側では、考え方が逆転するのだろう。 駐車場には、たくさんの車が停まっていた。 車を降りて外に出れば、燦々と陽光が降り落ち、木々の若葉は輝いていた。 高原を吹きわたる柔らかい風が、初夏の匂いを運んでいる。 駐車場から、ぶらりと、「ふれあい牧場」へ向かえば、道の生垣の山つつじの花が満開であった。 道を下り降りれば、そこには酪農関係の展示館「モーモーハウス」があり、アイスクリーム、バター、チーズ等の体験館があった。 その横の階段を下りると、木造りのテラスがあり、高原から爽やかな風が吹き流れて行く。 遠く、微かに霞む山々を背景にして、たくさんの鯉のぼりが、柔らかな風の海を泳いでいる。 テラスから少し歩くと、そこには山羊たちの放牧場があった。 たくさんの親ヤギや子ヤギが、若緑の草の絨毯で、のんびりと降り注ぐ陽光を楽しんでいた。 そのヤギに、何処からか摘んできた草を、子供が網目の大きな金網の柵から与える。 すると、数頭の親ヤギが金網越しに、ムシャムシャと美味しそうに食べていた。 真っ黒で大きなつぶらな瞳を輝かし、長い顎髭を揺らしながらもぐもぐと咀嚼していた。 ヤギの放牧場を後に、ぶらりと歩く小さなウサギ小屋があった。 真っ赤な瞳のウサギが、金網越しに、子供たちと遊んでいた。 そして、ウサギ小屋を離れ、道路を渡ると、お土産屋さんがあった。 地元の農作物や土産物を売っていた。 その裏手には、食堂とソフトクリーム屋さんがあった。 ママはソフトクリームを購入し、私は牛乳を買おうと思ったが、残念ながらコーヒー牛乳しかなかった。 だが、私たちの求めるポピー園は何処にもなかった。 お店の人に聞いてみれば、ここから、さらに、数百メートル行ったところにあるという。 だが、まだまだ一分咲きが精々だろうと教えてくれた。 来た道をぶらりぶらり戻りながら、途中。近道の新緑も美しい雑木林を抜けて駐車場へ。 時間はすでに4時を回っていた。 やはり、初夏も近い今日、降り注ぐ陽光は強く、そして暖かい。 駐車場から、ポピー園へ向かった。 程なくして、右に折れて進むと、そこは標高600メートル、右手には牛の放牧地が広がる。 親牛や子牛が、かなり急な斜面んで、深く差しこむ陽光を浴びながら、のんびりと牧草を食べていた。 そして、さらに200メートルほど進めばポピー畑があった。 だが、柵が張られ、中へは入れなかった。 「天空を彩るポピー畑」の大きな看板と、その横に小さな紙に、開園が延期されたことが書かれてあった。 それでも、このポピー畑を求めて、何組かの人たちが訪れていた。 広大な斜面一面に、ポピーの畑が広がる。 だが、ポピーの花は、1輪2輪と微風に吹かれながら、寂しげに深紅の花弁を揺らしていた。 満開になれば、まさに、天空を彩る、壮観で壮麗な深紅の花園が燃え上がるのだろう。 何時かまた、満開の時に訪れてみたい。 |