秩父市皆野町「美の山公園」
2009.7.5(日)

法事の翌日、「美の山公園」へ、アジサイ見物に繰り出す。
昨日は思いがけない好天に恵まれたが、今日はいささか危なげな空模様。
ママの姉夫妻に、姪っ子の子供2人と連れだって、2台の車で出かけた。
写真好きの義兄は、既に写真を撮りに来ているようだが、まだ見ごろとのことだった。

意外に急傾斜の山間の道を進めば、民家はやがて途絶える。
進むほどに、遠く眼下に、山に抱かれた秩父の町が、遥かに見える。
深い緑に包まれた急峻な路を、20分ほど行けば、
蓑山(標高586.9m)の山頂に到着した。

3年前位経つだろうか、かつて尋ねた時は雨で、土砂降りだった。
好天ならば、四方八方に、富士山、雲取山、筑波山、浅間山、両神山、武甲山、
そして、遠くには日光連山が見渡せる。
なだらかな木立茂れる尾根道の散策は、さぞや愉しいことだろう。

そして、何時かまた来てみたいと、その時、話したものだ。
晴天とは言えないが、薄曇り、今日はその目的を達したのだ。
すでに花の盛りは終わっていたのだろうか、見物客は少なかった。

山頂の駐車場に車を置き、右手遥かに、
市街地を眼下に見渡しながら、下りの散策道を降りる。
山肌に植えられた杉木立が切り倒されて、根株が無残にも露出していた。
そして、代わりに、たくさんのアジサイが植えられている。

きっと、来年は、一面、アジサイ、ガクアジサイアジサイ、セイヨウアジサイなどが、
咲き乱れるアジサイ園に、大変身しているのだろう。
最近は花ブームだ。
畑の真ん中に、たった1本の、樹齢何百年の桜の古木にさえ、
観光客が、観光バスで訪れる時代。

それにあやかって、広大なアジサイ園を、計画しているのだろうか。
同じ秩父市横瀬の芝桜は、大成功を収めている。
なんの変哲もなかった丘に、芝桜を植えただけで、シーズンともなれば、
何十万人の見物客が押し寄せる。

その代償に、たくさんの樹木が切り倒されるのは、少し悲しい気がする。
と、言いながらも、その花を求めて、私もカメラを持って、嬉々として出かけるのだが。
下りの道の彼方に、山肌に寄り添うようにアジサイが見える。

姪っ子の幼い兄妹は、楽しげに、小走りで動き回る。
坂の狭い道での小走り、義姉は気が気でない。
自分の孫たちとなれば、さらに思いは忙しい。
色とりどりのアジサイは、まだまだ鮮やかに咲きほころんでいる。

種類の違うアジサイが、彼方の山遠く、吹き渡る微風に揺れている。
薄紫、薄黄色まじりの白、淡い桃色、鮮やかな朱色に咲く、
アジサイに抱かれた道を、のんびりと進む。
そして、赤土の階段を、2人の孫が元気に登り始めた・

我々は、緩やかな他の道を登れば良いのだが、子供が登れば従うに他なし。
後ろについて登ることにした。
さすがに急峻な階段、元気いっぱいの子供たちも、途中で、何度か休憩をした。
山肌に咲くアジサイの遠く彼方に、霞みながら、山に抱かれた市街地が見える。

やがて、山頂の公園に到着した。
公園は広々と広がり、家族づれや熟年のカメラ伯父さんや小母さんが休んでいた。
空はどんよりとしているが、けっして重くはない曇り空。

飾り気のない鉄の階段を登って展望台へ。
四方を見渡せど、彼方に広がる山々は、朧に霞み、靄の中に消えていた。
眼下を見下ろせば、夏椿が楚々と可憐に咲いていた。