「二人のふみ子の会」


先週の土曜日、学習院大学へ出かけた。
私の高校三年の時の同級生・近藤明男さんが、
今年、山路ふみ子映画財団福祉賞の、栄誉に輝く。
題名は「ふみ子の海」
銀座のシネスイッチで、昨年公開以来、現在も全国で上映されている。
新潟県高田盲学校で、盲人教育に生涯をささげた、
粟津キヨさんをモデルにした映画だ。

かつて、銀幕の華、美人女優として、一時代を築いた山路ふみ子氏。
その後、赤坂に料亭を開き、莫大な財を築く。
やがて、母の看病のため、事業をたたみ、
その資金の八割で、文化財団を起こす。
自分を育ててくれた日本映画界の発展のために、
山路ふみ子映画賞も創設された。

日本で一番早い映画賞の、山路ふみ子映画賞。
ここで賞を戴い映画人たちが、現在の日本映画を担っている。
そしてこのたび、福祉に対して、
深い理解と貢献をした、山路ふみ子文化財団と、
盲人福祉教育に全生涯をかけた、粟津キヨさんをモデルにした、
「ふみ子の海」の「二人のふみ子の会」が企画された。

会場は学習院創立百周年記念会館正堂。
二時過ぎに、会は始まった。
第一部は「ふみ子の海」の上映。
私はこれで、試写会、銀座シネスイッチを含め、三度目の観映だ。
何回見ても、目はうるうると涙腺が緩み、心に熱い感動がこみ上げてくる。
会場にも、抑えきれずにすすり泣きが響く。

上映会が終わり、映画評論家の白井佳夫氏が壇上にあがり、
「ふみ子の海」が、福祉映画賞に推挙された経過報告。
そして、ふみ子を演じた鈴木理子さんと、
芸者に扮した遠野凪子さんが登壇し、白井氏と軽妙なトークが始まった。
トークが終わり、誰もいなくなった舞台に、近藤監督が登場。
みなさまの力により、高橋恵子さんは助演女優賞、
自分が映画賞を戴いたことへの、感謝の言葉を語った。

そして、二部の懇親茶話会が三階の、小講堂で開かれた。
会場に円卓が置かれ、そこには懐かしい駄菓子、ラムネ、
ふ菓子や、新潟名物の笹飴が置いてあった。
この会に尽力した人たちの挨拶。
さらには、「ふみ子の海」の作家・市川信夫氏も、笑顔で挨拶をしていた。
やがて、円卓に用意されたソフトドリンクで乾杯。
懇親会は和やかに、四時半過ぎに閉会した。