日光「華厳の滝&中禅寺湖」
2008年10月19日

昨年の紅葉狩りは猿ヶ京と吾妻渓谷、一昨年は昇仙峡から河口湖へ。
今年は19日、日光へ出かけた。
天気は思いのほか快晴。
最近はどうも天候に恵まれず、ぐずぐずした天気に始終する。
朝から、思い切りの秋晴れ。

日光には見所満載。
きっと、ママはいろいろと計画をしていることだろう。
なにせ、私が運転するわけではないので、
ママの計画に全てゆだねることにしている。
旅行計画から、旅館の予約まで、全部やってくれるのだからありがたい。
こちらは、旅行の先々で写真を撮ったり、酒が飲みたくなれば何時飲んでもよい気楽さだ。

早朝から車を飛ばし、東北道を北上する。
午前の8時頃には宇都宮を過ぎて、清滝ICへ。
ところが、ICまでの6キロ手前から渋滞し始めた。
車内のラヂオから、今まさに、私達がいる場所の渋滞情報が流れる。
そして、中禅寺湖に向かう「いろは坂」大渋滞と放送されている。
清滝ICへの渋滞を避け、手前のICで降り、
一路、中禅寺湖へ向かう道を進む。

陽光はますます輝きを増し、山々は朝の陽射しで眩しい。
車窓を開ければ、爽快な風が流れ込む。
なだらかな上りの道を、薄く霞む山々を正面に見ながら進む。
高速とは比較にならぬほどスムーズなドライブ。
このまま進めるのかとほくそえんだのも束の間。
案の定、道は渋滞し始めた。

そして、宇都宮日光街道の渋滞が続き始めた。
ラヂオでは宇都宮日光街道の渋滞状況が、幾度となく流れる。
もうここまで来たなら、覚悟を決めて行くしかないと腹を括る。
そんなに急ぐ旅でもないのだ。
とろとろと、栃木の秋の旅情にひたりながら進む。
何事も諦めが肝心。
今まさに在る状況を愉しむに限る。

やがて、渋滞の中、細尾大谷橋の交差点に出た。
そこをさらに進むと、渋滞が嘘のよう。
すいすいと風を切るように、我が愛車は進む。
幾重にも折れる九十九道。
噂にたがわぬ急カーブを蛇行しながら、ヘヤピンカーブを上る。
遠くの山々は微かに紅葉の気配。
街道沿いの広葉樹は色づき始めていた。

生い茂る木々の道を、秋風の薫風を愉しみながら、
かなりきつくなる勾配の街道を進む。
やがて、中禅寺湖の表示板が現れた。
そして、しばらく行くと中禅寺湖に到着。
華厳の滝と中禅寺湖の間あたりにある駐車場に車を停めた。

秋の陽光は中天に耀き、
燦々と色づきはじめた木々の葉を照らしている。
ここから華厳の滝はすぐ近くのようだ。
右に折れて少し進むと広場に出た。
すでに大勢の人たちが集まり始めている。
エレベータの搭乗券を往復530円で購入して進む。
やがて、エレベーターが到着。

乗り込めばエレベーターは、
100メーターをするすると音もなく、1分あまりで滑り降りる。
エレベーターを降りトンネルの通路を抜けると、その先に、華厳の滝はあった。
外光を遮断されたトンネルとは、対照的な陽光の耀き。
緑深い木々に紅葉が彩りを添え、その森厳な木々に抱かれた岩場を、
一条の荘厳な滝が豊かな水量をたたえながら、97メートル下へ流れ落ちる。
緑と紅葉と滝のコントラストが美しく陽光に映える。

華厳の滝に来たのは何年ぶりだろうか。
確実なのは、小学校の修学旅行で来ている。
そのあと、もう一度くらいは来ているのだが定かではない。
人間の印象や記憶とはそんなものだろう。
自分の都合のよいように記憶し解釈するのだ。

だんだんと観光客も増えてきた。
外国人や老若男女が、滝の前の展望台で、記念撮影をしている。
デジカメ写真やら、携帯電話のカメラやら、フル装備の本格派の素人カメラマンなど様々だ。
記念写真屋さんもいるようだが、さぞや商売もあがったりだろう。
今はまだ紅葉で色づきはじめただけだが、朱色、紅色、黄葉、紅葉に染め上がった岩場から、
迸り落ちる華厳の滝は優美にして高雅な姿だ。

滝壷に落ちた滝水は、激しい流れとなって、川下に流れ下る。
切り裂かれた渓谷を、紺青の水色をたたえながら一気に流れくだる。
山々は何もないかのように、
澄み渡った青空にくっきりと稜線を浮き出している。

少しだけ紅葉にはまだ早かったが、
この青空のもと、とっくりと華厳の滝を眺められたことに満足する。
茨城の袋田の滝、那智の滝、そして、華厳の滝の日本三大瀑布。
すべて、私の記憶に鮮やかに残すことになった。

時間はすでに12時を回っている。
ここから中禅寺湖へ出かけて昼食にしよう。
エレベーターの帰りは、来た時よりかなり込んでいた。
エレベーターを上りきり、広場に出た。
広場の隅のほうに、またもや展望台があった。
遠くに、先ほどよりは小さな華厳の滝の優美な姿が見える。

すこしベンチで休み、そして中禅寺湖へ向かった。
途中途中の土産物屋を覗き、
そして、お土産を買いながら中禅寺湖へ。
彼方には青い水をたたえた中禅寺湖が、
秋の陽光にきらきらと光り耀いている。

湖畔の木々は黄色、朱色に染まっていた。
真っ青に抜けるほどに高く澄み渡った空に、白雲がたなびく。
その青空に、なだらかな山々のまだ浅い紅葉が浮たつ。
燦々と降り注ぐ陽光を愉しみながら湖畔をそぞろに歩く。

湖には白鳥の姿のボートが浮かび、
桟橋からは遊覧船が航跡を残しながら沖合いへ進む。
湖に突き出して浮かぶ広場に出て、
岸のほうへ目をやれば、男体山の優美な姿。
稜線もくっきり、麓まで優麗な姿を映し出していた。

男体山の紅葉は進み、秋いっぱいの雅。
時たま、広場はそよぐ風に波立ち揺れる。
湖畔にはたくさんの観光客が押し寄せ始めている。
今日一日の予定は終わった。
これから、昼食を摂り、そして、東照宮山門近くのホテルへ直行しよう。