小さな旅&日記
池上本門寺2008.6.29


6月29日(日)、雨がそぼ降る中、池上本門寺へ出かけた。
中仙道から、秋葉原、日本橋へ。
東京を縦断して、国道1号を下り、池上通りへ。
品川区から大田区へ出て、目的地に到着した。
家を出たのが3時半ころ。
お寺に着いた時は5時頃だった。

お寺さんから、少し離れた駐車場に車を停め、本門寺通りを進むと、参道に出た。
すでに人通りはなく、門前は寂しく、どこも店仕舞いしていた。
主柱間5.3メートル、総高6・5メートル の総門を潜ると、
前方いっぱいに、急峻な階段、此経難持坂(しきょうなんじざか) 。
なんと96段もある。

『妙法蓮華経』見宝塔品第十一、此経難持の偈文は96字。
信者は、経文を読誦しつつ、功徳、信仰の尊さを思いのぼる96の階段。
熱心な法華信者だった加藤清正公が、祖師堂建立の折、寄進したものだ。
雨に濡れて、鈍く光る階段を一段、また一段とのぼる。

長い間、訪れた人々が踏みしめた階段。
少し、前方に傾いていたり、踏まれた数え切れないほどの足で、かしこが凹んでいる。
そして、所々、補修されていところもる。
階段の踊り場、遠くに、池上の家並みが煙る。
階段をのぼりりきると、仁王門(三門)が正面に控えていた。
楼門の左右には、阿吽の朱色の仁王像が、こちらを睥睨している。

三門を潜り境内を進むと、正面に大堂(祖師堂) が悠然と構えていた。
境内には、人影はほとんどなく、ひっそりと寂しい佇まい。
大堂の扉も閉ざされ、大堂の階段で雨宿りの老人がぽつりと一人。
小ぬか雨のように、止む気配もなく、振り続けている。

参拝を済ませ、五重塔へ。
古色蒼然、苔むしたお墓の中、鬱蒼と繁る木々に抱かれた、
広い道の正面に、夕靄の中、くっきりと鈍い朱色の塔が聳えていた。
煌びやかでも、豪壮でもないが、ずっしりと歴史のぬくもりを感じさせる塔だ。

塔の前に、力道山のお墓はこちら→と、案内看板が出ていた。
看板を辿って奥へ進むとお墓があった。
お墓の前には、腕を組んだ在りし日の、懐かしい力道山の雄姿の胸像。
そして、奥に進み、お墓の前で手を合わせた。

すでに、墓所の日は落ち始め、夕靄もいっそう濃くなってきた。
雨に煙る木々からは、ミントのように、気持ちよい芳香が匂い漂う。
甲斐の久遠時、安房の誕生寺、そして、臨終の地となった池上本門寺。
日蓮教徒とではないが、日蓮さま関係の寺巡りは終わった。